彼女たちは呼吸する


 

 

硝子の時計が
百年に一度の針をもつと、

彼女たちは踊りはじめる

誰も知らない
秘密の音色

女の子だけに許された
禁断の真夜中

抱き合って囁き、

月の光に導かれる


* * *


ピアノのあしおとが鳴りはじめたら、
彼女たちは森を彷徨う

血が通ってない故、
狼にはみつからない

彼女たちは信じている

紅く熟れた茱萸の実は、
人間になれる魔法の薬

神様にみつかれば
切断の刑

それでも

ワルツの音色が消えるまで
血色の実を食べつづける


* * *


全身を紅く染めて、

彼女たちは
眠りはじめる

永遠の

終わることのない
夢をみる

時計の螺子を
巻くのも忘れて

冷たい森で
静かに

目覚めの世紀が
 

訪れるまで

 

                    


 


 

 

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